国際数学オリンピックにアメリカ代表として参加するには、何が必要なのか考えたことはありませんか?または、数学が得意で、教室の外で数学を活かす機会はどんなものがあるのか考えたことはありませんか?
本記事では、数学オリンピックの疑問を全て解決します!国際数学オリンピックの参加資格と、参加資格試験であるAMC10とAMC12を突破するための方法を説明していきます。
数学オリンピックの参加資格は?
このセクションでは、数学オリンピックの参加資格を得るための重要な3つのステップについて説明します。
ステップ 1: AMC10又はAMC12を受ける
AMC10とAMC12は、全米数学協会が実施しており、全米招待数学試験(AIME)の受験資格を得ることができる、全国規模の試験です。上位の得点者のみにAIMEの受験資格が与えられます。MAAは、高校9年生と10年生はAMC10を、11年生と12年生はAMC12を受けることを推奨しています。AMC10/12は、複数回受験することが可能です。
AMC10とAMC12は、各25問ずつ出題されます。試験時間は全体で75分です。各正解は6点(150点満点)、未解答は1.5点の加点となります。誤答による減点はありません。
なお、全問正解していなくても、受験資格となる点数を得ることは出来ます。他の受験生よりも良い結果を出せばいいだけです!このことを念頭に置いて、試験の戦略を考えましょう。
受験資格を得るにはAMC12では上位5%、AMC10では上位2.5%に入る必要があるため、AMCを受験する学生の大半は受験資格を得られません。しかし、もし資格を得られれば、AIME(全米招待数学試験)を受けることが可能となります。
ステップ 2: AIMEを受ける
AIMEは全15問、3時間の試験で、各解答は0から999までの整数となります。AMC10またはAMC12のどちらを受けたかに関わらず、全員が同じAIMEを受験します。年に一度、春に実施されます(公式試験日に受験不可の場合には代替試験日も用意されています)。
AMC10やAMC12とは異なり、AIMEは1つの資格につき1度しか受験できません。つまり、受験資格を得るためにAMC10やAMC12は何度も受けることができますが、AIMEは一度資格を得ると一度しか受験できません。つまり、AIMEを受験する際には万全の状態で臨むべきなのです。
AIMEの受験後、AIMEの点数が10倍されたものがAMCの点数に加算されて、数学オリンピックの参加資格が決定されます。参加資格の通貨点数は毎年変わりますが、毎年約260〜270人の学生たちが数学オリンピックの参加資格を得られるよう設定されています。
ステップ 3: 数学オリンピックの参加資格を獲得し、大会に参加する
AIMEで良い成績を収めると、全米数学オリンピックへの参加権を得ることができます。その大会の上位入賞者は、国際数学オリンピックに出場する米国チームの一員として訓練に参加する機会が与えられます。(このプロセスの詳細は、全米数学協会のウェブサイトからご覧いただけます。)
AMC10を受けた学生は、全米ジュニア数学オリンピック(USAJMO)に出場します。AMC12を受けた学生は、全米数学オリンピック (USAMO)に出場します。
IMOまでの道のりは長く、そこまでたどり着ける学生はごくわずかです。しかし、AIMEを受験するだけでも、大学入試の際に差をつけることができ、特に工学系のプログラムを志望している場合は、その傾向にあります。高いGPAと高いSAT/ACTの点数とともに、AIMEを受験することで、優れた数学と問題解決能力を持っていることを大学に示すことができます。
数学オリンピックの内容の学習方法は?
微分積分までの数学は、AMC10とAMC12、AIMEで出題されるほとんどの内容を網羅していますが、数学大会の問題は、通常の数学の宿題で見られるものよりも難題なものが出題されるでしょう。
まだ学校で微分積分まで学習していない場合は、AMC10やAMC12で出題されやすい問題の解き方に集中する前に、内容を学習することが最初の課題になります。
微分積分を履修していない場合、家庭教師をしてくれる先生や友人がいるか探してみましょう。また、早く追いつくために、夏の間にクラスを受講することができるかどうか確認するのもいいでしょう。さらに、お住いの地域によっては、微分積分のスキルを向上させるための個別指導が提供されているかもしれません!
その間に、数学の教科書のまだ学習していない部分を確認したり、今年受けている数学の授業で扱われていないテーマを練習したい場合には、学校の先生に教科書を貸してもらったりすることも可能です。
また、学習に役立つMAAのオンラインコンテンツも是非ご覧ください(オンラインアカウントを作成する必要があります)。
問題解決能力を身につける方法は?
AMCでいい成績を収めるには、単に数学をよく知っていて暗記問題が解けるだけではなく、数学の概念を熟知し、それを使って難題を解けるようになることが重要になります。
問題解決のコツ(Art of Problem Solving)というウェブサイトは、数学大会のリソースと問題のハブで、多くの元AMC受験者が最高のリソースとして挙げています。ウェブサイトには、特定の種類の問題の解き方を学ぶページ、優れた対策教本についてのアドバイス、勉強方法や戦略について他のAIME候補者と話すことができるフォーラム等があります。
このページには、練習問題や対策教本へのリンクが掲載されており、いい開始点となるため、是非ご覧ください。
AMCの勉強方法のアドバイスは、練習問題をたくさん解き、間違いを直すことです。自分の弱点を入念に分析しましょう。ただ間違えたところに気づくだけでなく、なぜ間違えたのか、次はどうすれば正しく解けるようになるのか、よく考えましょう。
問題解決能力を向上させるために、数学の問題を解くことに特化した本を借りたり、購入したりすることも検討しましょう。ジョージ・ポリアの「いかにして問題を解くか」、アーサー・エンジェルの「問題解決戦略」、アルフレッド・ポザメンティアとチャールズ・サルカインドの「代数学の難問」などの本では、通常の数学の授業では教えられないスキルを身につけることができます。
数学オリンピックに向けた対策方法
勉強とは、ただ時間をかけるだけではありません。最適な練習問題を解き、自分の弱点をよく分析し、数学のスキルを必要なところに集中させる必要があります。
プロのように勉強するために必要な6つのコツを紹介します。
#1: 質の高い練習問題を使用する
可能な限り、過去のAMCの練習問題を使用しましょう。AMCの出題形式や問題の種類を想定して対策をしましょう。どんな問題演習でも役に立ちますが、AIMEの受験資格の取得を目指すのであれば、AMCの問題対策に大半の時間を費やすべきです。
問題の解き方が分からない場合は、数学の先生や数学チームの友人に聞いたり、問題解決のコツ(Art of Problem Solving)のようなオンラインフォーラムを利用しましょう。AMCの問題を一つ一つ理解すればするほど、本番に備えられるようになります。
#2: だらけない
質の高い練習時間を確保することが重要です!練習問題を解くときは、静かな部屋で、試験中に外部資料を使用せず、きちんとしたテーブルや机に座り(ベッドでだらけない!)、必ず時間を計って、実際の試験に近い状態を作りましょう。問題を復習する際には、ウェブサイトや問題集などの外部資料を使用し、注意力と集中力を保つことを忘れないようにしましょう。
#3: 弱点に目を向ける
勉強する時には、自分の苦手な分野に一番時間をかけて集中的に勉強しましょう。練習問題を解きながら、解き方が分からなかった問題や、不安な概念を記録しておきましょう。勉強の集中力を高めるために、間違えた問題は日記やノートに記録しておくといいでしょう。
そして、ただ間違えた箇所を記録して次に進むのではなく、何を知らなかったのか、何を想定していたのかなど、間違った理由を考え、今後、同じような問題を正しく解けるように計画を立てましょう。
#4: 小さなミスに気をつける
マイナス記号を忘れたり、誤って小数点を動かしてしまったり、基本的な計算ミスなどの小さなミスに十分注意しましょう。小さなミスをすると、解き方の本質は正しいのに、答えを間違えてしまいます。本番の試験でこのようなミスをしないように、練習をしている時は注意を払い、慎重になる癖をつけましょう。自分は頭がいいから馬鹿げた間違いはしないとは決して思わないでください!
#5: 定期的な学習時間を設定する
最後に、毎週勉強に当てる時間を確保しましょう。少なくとも週に1回練習することで、学んだスキルをすべて覚えておけ、知識を積み上げ続けていくことができます。他の授業や課外活動のように、勉強をスケジュールに組み入れましょう。そうしないと、途中で勉強することに挫折してしまい、必要な量の練習ができなくなります。
#6: 他の数学大会に参加する
学校に数学チームやクラブがあれば、練習のために参加しましょう! 小さな大会に参加すれば、緊張した状況に対処する方法を身につけることができ、練習の機会も増えます。また、一緒に勉強できる似た興味を持った学生のコミュニティを見つける事にも役立ちます。
また、それらを早くから始めることができれば、それに越したことはありません。中学校や小学校には、通常の数学の授業では扱われないような難題に触れることができる数学クラブがある学校もあります。
大会前夜にすべきことは?
せっかく対策をしたのに、ゴールでつまづいて、大会直前に今までの苦労を台無しにはしたくはないでしょう。AMCを受ける前夜にはあまり勉強をしないようにしましょう。その時点までに、出来る限りの対策は行ってきたはずです。リラックスし、試験に向けた正しい気持ちの持ち方に入ることに集中しましょう。
また、大会前夜には十分な睡眠をとり、前夜に夜更かしをして、今まで勉強してきたことを無駄にしないようにしましょう!
最後に、朝にスムーズに試験会場へ向かえる為に、交通手段や道順を確認しておきましょう。朝に慌ててしまうことは避けたいですよね!交通渋滞や直前の問題に備えて、早めに試験会場に到着するよう計画しましょう。
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